呼吸器内科

胸部異常陰影
健康診断で呼吸器疾患があるか確認するための検査のひとつに胸部レントゲン検査がございます。胸部レントゲン検査で異常がみられた際にはCTでの精査が必要となります。当クリニックでCTを施行した際には即日、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医がCTの読影をしてご説明させていただきます。後日放射線科読影医にもダブルチェックとして読影をしていただき、読影結果もご説明いたします(撮影から原則2~7日以内に放射線科医の読影レポートをいただけます)。
他の医療機関で胸部異常陰影を指摘された患者様も診察させていただき、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医と放射線科読影医のダブルチェック後、読影レポートと画像データを紹介医療機関へご返却いたします。原則、患者様個人への画像データの提供は致しておりませんのでご了承ください。
肺がん
肺がんはレントゲンやCTなどの画像検査から疑い、喀痰検査(喀痰細胞診)・気管支鏡検査(口から気管支・肺に内視鏡を挿入する検査)・手術(外科的生検)などの検査をして癌細胞を同定することで確定診断をします。
肺がんの確定診断には前述のように癌細胞の同定が必要ですが、肺がんの病変が小さい時には、喀痰検査や気管支鏡検査で癌細胞の同定が難しいことが多くございます。
手術(外科的生検)を行えば、肺がんの病変が小さい時でも確定診断ができますが、手術をすると肺を一部切除することになるので肺機能が低下してしまいます。
そのため肺がんの可能性がある小さな肺病変のある患者様に対して、CTで肺病変が大きくならないかフォローをしていくことが多くございます。
肺病変が増大してきた場合には肺がんが強く疑われ、気管支鏡や手術(外科的生検)での精査が必要なため、高次医療機関へご紹介させていただきます。
当クリニックでは肺がんの可能性がある小さな肺病変の定期的なCT検査フォローや肺がん患者様の緩和治療を行っています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
COPDは長期の喫煙歴・大気汚染などの外因性因子と遺伝素因などの内因性因子が原因となりますが、大多数は喫煙が原因で発症します。
咳・痰・労作時の息切れ・呼吸困難感などの症状が徐々に増悪していくことが特徴です。
COPDは下記を満たした場合に診断いたします。
- 1)長期の喫煙歴などの曝露因子があること
- 2)気管支拡張薬吸入後に1秒率(FEV1/FVC<70%)であること
- 3)他の気流閉塞をきたしうる疾患を除外すること(気管支喘息・うっ血性心不全・肺結核後遺症・気管支拡張症・びまん性汎細気管支炎)
治療で最も重要なことは禁煙です。患者様の病状に応じて、適切な吸入薬(β受容体刺激薬/抗コリン薬)・内服薬(テオフィリン)を用いていき、在宅酸素療法が必要な患者様には在宅酸素療法を導入いたします。
肺炎
肺は気道を通して体外と繋がっている臓器であり、病原微生物の侵入を伴って感染が成立しやすい臓器の一つです。
感染に伴う肺炎は、大きく分けて細菌性肺炎・ウイルス性肺炎・真菌性肺炎と分けられますが、細菌性肺炎だけでも肺炎球菌肺炎・レジオネラ肺炎・マイコプラズマ肺炎などと多数の鑑別が必要です。
当クリニックでは詳細な病歴を聴取し、レントゲンやCTで肺炎の性状を確認し、迅速検査キット・痰の培養検査キットを用いながら病原微生物を同定して適切な治療薬を選択していきます。
間質性肺炎
間質性肺炎は肺の間質組織(肺の空気が入る部分を除いた部分で主に肺を支える役割)に炎症を起こして線維化が起こる疾患の総称です。
症状としては通常の肺炎と似ていますが、痰が少ないことが一つの特徴です。通常の感染による肺炎とは異なり、抗菌薬(抗生剤)は一部例外を除いて効果がなく、ステロイド・免疫抑制薬・抗線維化薬が治療の主体となります。
間質性肺炎は呼吸機能が低下していくことはもちろんのこと、「急性増悪」と呼ばれる急激に呼吸状態が悪化して死に至ることもあります。そのような間質性肺炎の症状に対して、呼吸機能低下の進行速度を遅くしたり、「急性増悪」の発症リスクを下げるために抗線維化薬(オフェブやピレスパ)が使用されることがあります。抗線維化薬は全ての間質性肺炎の患者様に適応となる訳ではなく、特発性肺線維症・全身性強皮症に伴う間質性肺炎・進行性線維化を伴う間質性肺炎の患者様に適応となります。
そのため、当クリニックでは間質性肺炎の患者様には定期的に呼吸機能検査とCT検査で抗線維化薬を使用した方が良いか経過観察させていただき、必要であれば抗線維化薬の投与をお勧めいたします。
非結核性抗酸菌症
結核と名前は似ていますが、結核とは異なる菌で人から人への感染は致しません。自然界の土壌・人工的な水環境などに生息する環境生息菌であり,通常は気道を通って感染します。近年罹患者数・死亡者数ともに増加傾向であり、慢性閉塞性肺疾患・気管支拡張症などの肺疾患がある方や中高年以上の女性患者様に好発します。
非結核性抗酸菌症は特徴的なCT所見と、3回中2回以上痰から非結核性抗酸菌が検出されれば診断が可能です。
痰の喀出が難しい方で治療を早期に行った方がよい患者様には、直接下気道の検体を採取する気管支鏡検査を行うようにお勧めさせていただきます。
非結核性抗酸菌症の治療は長期間必要で最低でも1年半以上は治療が望ましいとされています。非結核性抗酸菌の種類・耐性化・種類にもよりますが、長期間抗菌薬を投与すると耐性菌を招いてしまうため、アジスロマイシン・リファンピシン・エタンブトールなどのお薬を3剤併用して行うことが一般的です。
気胸
外傷・針治療・呼吸器疾患の悪化などによって、肺に穴が空いてしまい、肺の外の胸腔(きょうくう)と呼ばれる部分に空気がたまってしまうことを気胸と呼びます。典型的には胸痛や呼吸困難の症状が突然起こります。
軽症例(Ⅰ度気胸)では外来でレントゲンやCTで経過観察しますが、中等症(Ⅱ度気胸)以上の患者様は胸腔ドレーンと呼ばれる体外に空気を排出するための管を挿入したり、手術が必要なため、高次医療機関へご紹介させていただきます。
在宅酸素療法
慢性呼吸不全(慢性的に酸素が必要な状態)の患者様に対して、ご家庭やご施設などで酸素を補助吸入していただく治療です。
呼吸困難症状の軽減、QOLの向上、心不全や肺高血圧症などの合併症を防ぐために行います。
高度慢性呼吸不全例、肺高血圧症、慢性心不全、チアノーゼ型先天性心疾患および重度の群発頭痛の患者様が一般的に対象となります。
喫煙されている方は酸素に引火する危険性があるため在宅酸素療法を行えません。禁煙や禁煙外来の受診をお願いいたします。