アレルギー科

気管支喘息

気管支喘息は気道の慢性炎症が背景にあり、発作性に気道が狭窄した結果、咳・呼吸苦・喘鳴(ヒューヒューやゼーゼーと鳴ること)の症状を引き起こします。
気管支喘息に明確な診断基準は存在せず、下記の診断の目安を用いて診断をいたします。

  • ・発作性の呼吸困難・喘鳴(ぜんめい)・咳嗽(がいそう)の反復があるか
  • ・可逆性の気流制限があるか
  • ・他の疾患によらないこと
  • ・気道過敏性亢進があるか
  • ・アトピー素因があるか
  • ・気道炎症<喀痰・末梢血液中の好酸球の増多, 喀痰中のクレオラ体の証明, 呼気一酸化窒素(NO)濃度上昇>があるか

喘息の治療は吸入薬(ステロイド/β受容体刺激薬/抗コリン薬)・内服薬(ステロイド)・貼付薬(ホクナリンテープ)・注射薬(抗体製剤)を病状や患者様の背景に応じて選択して処方いたします。
専門家レベルの意見では、全く症状がなく、呼吸機能検査も極めて良好な状態が数年間続いた方は喘息の治療の終了を検討してよいという報告もございますが、喘息の治療をいつまで行うかどうかは明確な決まりはなく、基本的には安定した方にも少量の吸入ステロイドは継続が望ましいとされています。
当クリニックでは喘息の病状に応じて、適切な吸入薬を選択し、通常の吸入薬での喘息のコントロールが不良な方に対して注射薬の抗体製剤まで使用いたします。

咳喘息

喘鳴や呼吸困難を伴わない咳嗽を唯一の症状とする喘息の亜型を咳喘息(せきぜんそく)といいます。
咳喘息は下記の1)と2)を満たした場合に診断されます。

  • 1)喘鳴を伴わない咳嗽が8週間以上持続し、wheezes(喘鳴)を認めないこと
  • 2)気管支拡張薬(β刺激薬またはテオフィリン製剤)が有効であること

経過中に成人では30−40%の方にヒューヒューやゼーゼーなどの喘鳴が出現して典型的喘息へ移行することがあるため、咳喘息は適切な診断と治療が求められます。治療は吸入ステロイド薬で行いますが、治療開始後短期間で症状が軽快・消失した患者にいつまで治療を続けるかのエビデンスはございません。過去1年以上治療を行って吸入ステロイド薬が低用量まで減量できて無症状であれば治療中止を考慮してよいという報告などもございますが、患者様の状態に合わせて治療をしていきます。

アトピー咳嗽

アトピー素因を有する症例の中枢気道に生じる非喘息性好酸球性気道炎症であり、ノドの奥のかゆみやイガイガ感が特徴です。
アトピー咳嗽は下記の1)-4)を満たした場合に診断されます。

  • 1)喘鳴や呼吸困難を伴わない乾性咳嗽が3週間以上持続
  • 2)気管支拡張薬が無効
  • 3)アトピー素因を示唆する所見
    ※または誘発喀痰中好酸球増加の1つ以上を認める
  • 4)ヒスタミンH1受容体拮抗薬または およびステロイド薬にて咳嗽発作が消失

咳喘息と異なり、気管支拡張薬は無効であり、ヒスタミンH1受容体拮抗薬や吸入ステロイド薬が効果を示すため、それらを治療に用います。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎はスギやヒノキなどの春の花粉が原因となることが多く、主に水様性の鼻水・鼻づまり・くしゃみを呈する疾患です。
アレルギー性鼻炎は季節性アレルギー性鼻炎(季節限定)と通年性アレルギー性鼻炎(1年中)に大別されます。

  • 季節性アレルギー性鼻炎の原因は
  • 1〜5月…ハンノキ
  • 3〜4月…スギ/ヒノキ
  • 3〜5月…シラカンバ
  • 3〜9月…イネ
  • 8〜9月…ヨモギ/ブタクサ

と季節によって、抗原が異なるためどの時期にアレルギー性鼻炎を発症するのか、どの抗原に接すると発症するかの病歴も重要となります。

一方で通年性アレルギー性鼻炎の原因のほとんどはダニ・ハウスダストとなります。
アレルギー性鼻炎の治療の原則は抗原に対するアレルギー反応となるため、原因となる抗原の回避が原則です。
薬物療法としては、ヒスタミンH1受容体拮抗薬(アレグラやビラノアなど)・ステロイド点鼻薬・ロイコトリエン受容体拮抗薬などを用いていきます。
重症難治の季節性アレルギー性鼻炎にはオマリズマブという注射の抗体製剤も用います。
また、スギ・ダニによるアレルギー性鼻炎の予防に舌下免疫療法を当クリニックでは行っております。